超音波シール:サステナビリティを実現
単一素材や紙を素材に選ぶ傾向
パッケージ用の単一素材や紙の複合材の需要は高まっており、ハーマン・ウルトラソニックの超音波ラボでは、新しいリサイクル可能な素材に関する問い合わせが増えています。大手食品会社の多くは、高いサステナビリティ目標を掲げ、新素材を試しています。次に、アルミで被膜しているか被膜していないダンボール積層板の超音波シーリングについても、実証されたプロセスとして評価されています。コーヒーのカプセルに活用されているPLAなどのバイオプラスチックでも優れた超音波シーリング特性を示しています。
本格的なサーキュラーエコノミー(循環経済)を発展させ、リサイクル率を向上するための第一歩は、単一素材のパッケージの導入です。たとえば、フィルムは複数の種類のプラスチックの層ではなく、単一素材による一層または複数の層で構成されています。こうした技術は、誘導や熱接触などの従来のプロセスに影響を及ぼします。誘導加熱溶着はアルミニウムがないと機能しません。また、紙の複合材は絶縁効果があるため、熱接触プロセスの用途は非常に限られています。
超音波シーリングの優れた特性は、単一素材パッキングが主流になりつつある現在のトレンドに適しています。超音波の場合、シール部分の内部でのみ熱エネルギーが発生します。同じ素材であっても、サポート層は融解しません。つまり、導入されるエネルギー量を正確に定義できるということで、加工時間が短くなる傾向にある単一素材にとって、大きな利点です。
厳しいプロセス制限を維持
Robert Hueber(ハーマン・ウルトラソニックス社パッケージビジネスユニットディレクター):「超音波技術はまた、特に気密性や外観に関して、狭い加工範囲でも優れた封止結果を得ることができます。熱膨張は最小限に抑えることができます。熱シーリングプロセスは、単一素材で作られたフィルムウェブの高速溶着では、過剰な熱の発生により不具合が生じます。フィルムウェブの伸びが制御できず、プロセスに失敗する可能性があります。」
モノマテリアル(単一素材)の場合、サポート層が機械的・熱的に安定していないため、フィルムの収縮が起こりやすくなります。シーリングシームの外観が損なわれ、接着されてしまう可能性があります。超音波シーリングの場合、冷却ツールがあるのでこの問題を防ぐことができます。その結果、ダウンタイムが短縮され、高温用テフロンテープなどの消耗品の必要性が減ることになります。超音波技術ではシーリングの間だけエネルギーを消費するため、他の熱シーリングプロセスのような高い待機消費は必要ありません。予熱がなくてもすぐに使えるので、環境への負荷軽減にも貢献しています。
予備知識:超音波シールの最大の特長は、シーリング部分の内側でのみ熱が発生するということです。
超音波シーリングは、パウチ包装のプロティンなど水分を含む食品や加糖飲料、サラダや粉末状の製品など、さまざまな用途で熱シーリングに代わる選択肢として注目されています。サーマルジョーを使用する従来のシーリングとの決定的な違いは、加熱方法です。サーマルジョーを使用する場合、外部から熱を当てるので、全体が加熱され、サポート層にも影響を及ぼします。超音波シーリングの場合、熱はシール層内部の超音波振動によって発生します。こうすることで、パッケージング材料全体が加熱される前に、シーリング層を分子レベルで接合します。その結果、パッケージや内容物の種類に応じて、力をかけずに封をすることができます。縮みや漏れを最小限に抑えることができます。